味わい豊かな五目あんかけ中華丼、シャキシャキ野菜・ぷりぷり魚介の八宝菜、ふわふわ卵の天津飯…どれもトロッとたっぷりした口当たりの“中華あん”が、より中華らしさを引き立てます。
でも実際にお家で作ろうとすると、ダマができてしまったり、とろみがつかなかったり…
私もそんな悩みを抱えるひとりです。
そこで今回は、家庭で「中華あん」をうまく作るコツを、中華料理人の高橋さんにお尋ねしてきました。
高橋修さんは、学生時代のアルバイトをきっかけに中華料理の世界に入り、その後熊本の太平燕発祥の店と言われた老舗・中華園(2015年閉店)で修業を積み、交通センターホテルの厨房時代に香港で点心を学び、阿蘇の司ビラパークホテルで中華料理長となり、その後も紅蘭亭グループの馬馬虎虎(マーマーフーフー)やジャンジャンゴーで料理長を歴任するなどのキャリアを積みながらも、群れずつるまず一匹狼で坦々と仕事を極める、熊本の中華料理人界ではちょっとした異彩を放つ料理人さんです。
そんな高橋さんの料理に魅了された私は、図々しくも、家庭でおいしい中華を作るにはどうしたらいいのか、直接お尋ねすることにしました!
目次
1.中華あんに対する誤解!?
「中華あん」というと、どんな物を思い浮かべますか?
かに玉の上にかけられた、琥珀色した甘酸っぱい味わいのとろみでしょうか?
それとも八宝菜のような、シャキシャキ野菜たちにまとわせている、塩味ベースで半透明のとろみでしょうか?
あるいは、五目あんかけ中華丼のように、ざくざく具材の入ったものに牡蠣エキスがしみわたる鼈甲(べっこう)色のとろみでしょうか?
それ、全部「中華あん」です。
料理で言うところの「あん」は、調味液や煮汁に、片栗粉などのでんぷんを加えてとろみをつけたものを指します。そして、そのあんがかかっている料理を「あんかけ」と言ったりしますが、よくよく考えると中華に限らず和食でも、とうふのあんかけ、あんかけうどんなど「あんかけ」料理がたくさんあることに気づきます。
つまり、料理の世界に「あん」はたくさんあり、その中でも中華料理に使われるものを、大きくまとめて「中華あん」と呼んでいるわけです。
「中華あんの作り方を知りたい」と調べる方も多くお見かけしますが、そのレシピに書かれている「中華あん」が果たして、あなたの望む「中華あん」と一致するのかは難しいところです。
これぞ「中華あん」という、決まった型は存在しません。
となると、大切なのは「どんな味わいを楽しみたいのか」をまず決めることなのかもしれません。
みなさんは、今日、どんな味を楽しみたいですか?
2.中華あんの味わい代表3種類
とろみのついた調味液・煮汁が「あん」で、中華料理に使われているものを「中華あん」と呼ぶこと――ざっくり言うと、”中華の味”でとろみのついた汁を「中華あん」と呼ぶことを先ほど述べました。
さてそれでは「中華あん」には、どんな味わいのものがあるでしょうか?
ここでは代表的な3種類の味わいをご紹介します。
①甘酢味の中華あん
酢、砂糖、醤油で味をつけた甘酸っぱい味わい。
好みでケチャップを入れるのもよし。
卵料理や肉団子に合わせて使われることが多いかもしれません。
②塩味の中華あん
鶏がらスープ、塩、酒で味をつけたあっさりした味わい。
塩加減は、本当に人それぞれのお好みで。
あっさり味なのでどんな料理にもよく合う万能あん!
私は野菜をたっぷり炒めたものに合わせるのが大好きです!
③醤油味の中華あん
オイスターソース、醤油、酒で味をつけたコクのある味わい。
ひと味ほしい時は塩を加えて〆てみましょう。
酸味が苦手な人には、特におすすめの味わいです。
さてさて、みなさん。今日、どんな味を楽しみたいですか?
3.中華あんのポイント「とろみ」のつけ方コツ
中華あんのコツ、それは「とろみ」のつけ方にあります。
とろみをつけるのは水溶き片栗粉。
この水溶き片栗粉をどのように入れるのか。
結論から言うと、中華あんをうまく仕上げるためのポイントは3つ。
①とろみをつける前に、料理の味を完成させること
②味見をしたスプーンやおたまをそのまま使わないこと
③水溶き片栗粉は少しずつ入れること
ここから各ポイントを詳しく見ていきましょう。
①とろみをつける前に、味を完成させること
中華あんのとろみは最後の仕上げです。
とろみをつけた後に調味料を加えるとうまく混ざりません。
味の調整を後からするのは難しいため、まずは味を完成させましょう。
水溶き片栗粉分の水が加わるので、少し濃いと感じるくらいでも大丈夫です。
②味見をしたスプーンやおたまをそのまま使わないこと
私たちの唾液には「アミラーゼ」という成分が含まれています。
アミラーゼは、でんぷんのとろみを溶かします。
味見をし、唾液がついてしまったスプーンやおたまを料理の中に入れてしまうと、アミラーゼが料理の中に混じり、水溶き片栗粉を投入しても固まりにくくなるのでご注意を。
ちなみに、プロの料理人の味見はおたまからズッ…!と直接しているイメージですが、実は、口をおたまにつけることなく上手に吸っていらっしゃるため、その心配はないそうです!
③水溶き片栗粉は少しずつ入れること
ここが最大のポイントです。
水溶き片栗粉は、鍋の中に少しずつ入れて混ぜるのが、うまく仕上げるポイントです。
仕上げの段階で水溶き片栗粉を少し入れ、火を通しながら混ぜ、とろみが足りなければまた少し足して混ぜ、を繰り返します。
一度に大量投入するとダマができやすいのでお気をつけください。
なお、プロの料理人は片手で鍋を振り混ぜながら、片手で少しずつ水溶き片栗粉を入れるそうです。
家庭では、鍋を火にかけた状態でスプーンで少しずつ入れ、すぐかきまぜ、少し入れ、すぐかきまぜ、を繰り返すと上手くできますよ。
さてみなさん、今日、どんな味を楽しみたいですか?
4.中華あんでおいしくなるお料理
「中華あん」といってもいろいろな味わいがあるように、そのスタイルも大きく分けて2種類あります。
それは
①スープにとろみをつけ、料理にかけるもの
②料理の中に混ぜ込み、汁が広がるのを留め、仕上がりをまとめるもの
わかりやすく例えると
①天津丼やかに玉など、でき上がった料理にトロっとしたスープ状のあんをかけるもの
②八宝菜のように、炒めた料理そのものにとろみをつけて仕上げるもの
と、言ってよいかもしれません。
ちなみに②のタイプの中華あんは、ごはんにかければ、家庭で作る1番人気のレシピ「中華丼」になります。
どちらの中華あんにしても、まず大切なのは、どんな味わいを楽しみたいのかを決めること。
それから調理にとりかかり、最後にとろみをつけて中華あんが仕上がります。
さあ、みなさん!今日食べたいのは、何味ですか?
あなたの楽しみたい味わいの中華料理レシピ、次のものを参考に選んでみてください。
レシピはあくまでも「参考」です。
いろいろ試しながら、あなた好みの味わいに仕上げていってくださいね。
◆甘酢あん
https://cookpad.com/search/%E7%94%98%E9%85%A2%E3%81%82%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%91
◆塩あん
https://cookpad.com/search/%E5%A1%A9%E3%81%82%E3%82%93%E3%81%8B%E3%81%91
◆醤油あん
5.まとめ
今日は中華あんを上手に作るコツをお伝えしました。
まずは、中華あんに決まった型はないということ。
そして、「あなたが楽しみたいのはどんな味わいなのか」を決めること。
さらに、上手に作るポイントは、最後の仕上げに水溶き片栗粉を少しずつ入れること。
唾液が混じると、あんが固まりにくくなるのでご注意くださいね!
さて、家庭で作る中華料理!
中華料理のプロ・高橋さんに相談しながら、次はどんな料理にチャレンジしようかな…。
次の更新も、ぜひ楽しみにしてくださいね!
コメント